ここ数年暖冬傾向の冬が続きましたが、2020-21年の冬は12月の早い時期から寒さが本格化し、新潟や群馬の北部山沿いでは1晩で2mを超す積雪となっています。
雪害が非常に心配ではありますが、ウィンタースポーツを楽しみに待つ身としては、いよいよ季節到来と密かに心躍らせていたりといったところでしょうか。
そんな冬をハイエースベースのバンコンの中で車中泊するに当たり、寒さを乗り切る方法を改めて整理したいと思います。スキー場の駐車場や極寒の道の駅等で車中泊をしながらスキーをするためにハイエースを購入して3シーズン目、毎年改良を重ねた防寒対策をお伝えします。
冬の車中泊 防寒の基本的考え方
コロナ禍の今、密を避けるためにも宿泊ではなく車中泊でスキー、スノボを。と考えている方も多いかと思います。そこで僕が思う冬の車中泊における防寒ポイントは大きく分けて以下の3つと考えています。
その1 冷気の侵入をシャットアウト
防寒対策の一番の基本は、外からの冷気をシャットアウトする事がとにかく最も大切になります。これをせずに暖房をガンガン焚いても意味なんてないです。
ハイエースはその構造上、鉄板とデカい窓に360度囲まれており、実は非常に冷気をシャットアウトするには不利な車と言わざるを得ません。そのあたりを考慮し、我が家は豪雪地帯の新潟県燕三条のビルダー、カトーモーターさんに架装をお願いしました。
屋根、床、サイドに断熱材を入れ、屋根と右窓と後ろの窓をFRPで潰したうえで、アクリル窓に変更しているのがベースとはなりますが、それでも真冬に車内で過ごすには寒すぎるのが実態だったりします…
きちんとしたサンシェードで窓を塞ぐ
これは誰もがしている対策とは思いますが、まず第一に、きちんとした(プライバシー確保目的ではなく断熱目的の)車種専用設計のサンシェードで全ての窓を覆う事から始めます。
シェードの上からカーテン
シェードをしたうえ、その上からカーテンを閉める事で中の温かい空気層と窓等すきまから入る冷気との間に空気の層を作ります。こうしておくとシェードのみに比べ幾分冷気の侵入を妨ぐことが出来ます。
窓枠を木製にする事はムリとしても、シェードの上からカーテン。これはすべてのハイエースで実践可能かと思います。
すき間を埋める
とにかく冷気は窓からだけではなく、クルマのあらゆるすき間から忍び込みます。これが車内で長時間過ごしていると意外に寒い。意外どころか窓からの冷気を抑えたはずなのになんだか薄ら寒い。そんな経験をした方も多いかと。
すき間のポイントは各車とも違うと思われます。我が家で気になるところは以下のところになります。
運転席(助手席)後ろ
我が家のバンコンはただでさえ狭いため、車中泊時には運転席・助手席を倒し、裏面を座面としてダイネット展開時の着席スペースになっています。
スライドドア
やっぱりスライドドアに超機密性を期待するのは酷というもの。やっぱり寒いもんは寒いのです。
就寝スペース下部収納スペースの扉
我が家のキャンカーは、ハイエース後部を就寝スペースと大容量の収納スペースで構成されています。当然就寝スペースは徹底的に防寒対策を施していますが、灯台下暗し。下部の収納スペースからの荷物を車内から出し入れするドアのすき間から、スーーーーーーっと…
このようにリビングルームに侵入する冷気に関しては、DIYなどで売っている厚手のアルミシートを立てたけて防止します。
その2 暖気を逃がさない
冷気をシャットアウト=暖気を逃がさない。ではあるのですが、対策が微妙に異なっていると思っています。最も重要な点は
冷気をシャットアウト…冷気を反射
暖気を逃がさない…輻射熱を活用
と思っており、そのために銀シートを上手に活用する事がキモになります。
では実例を。
その3 効率的な暖房と車内での防寒着
冷気を車内に持ち込まない。
暖気を車外に出さない。
といった基本対策をおこなったうえで、車中泊時、室内の温度を温める必要が生じますが、やはりエンジンかけっぱなしはマナーとしてしたくないものです。キャンピングカーの場合、FFヒーター(ガソリンを燃料にしたファンヒーター)を装着している事が多いと思いますが、大げさなキャンピングカー架装まではいかないまでも、ベッド展開キットなどを組み込んだ車中泊仕様のハイエースのほうが主流と思います。
ガスファンヒーターで一時的に室内を暖める
そんなハイエースの車内での暖房としては、やはりイワタニのカセットガスで稼働するファンヒーターが安全かつ有効な暖房器具と考えています。
当然、換気はマスト。なので、長時間これで過ごすというよりも寝る前にこれで車内を暖めて、ソッコーシュラフ等寝具に潜り込む。のがベターかと。
車内での防寒着は?
ヒートテック等機能性保温インナーに薄手のミドルレイヤー向けのダウン上下。が一番のおススメ。やっぱり車内の防寒対策と同様に、人間も温かい空気の層を作るのがキモ。
※ミドルレイヤー使用の薄手のダウンにダウンパンツは体温を逃がさず良いと思いますが、そのまま寝るのは厳禁。原理としては、ダウン自体の保温性能によってジャケット(パンツ)の中は暖かくなるが、その熱が外に出ないためシェラフまで届かない。そのため、シェラフ自体の保温性能が全く活かされない結果となります。
※就寝時は肌着(ロンTにスエット下)のみか、もしくは肌着+薄手のフリースくらいがベスト。自分の体温をシュラフに伝え、シュラフのダウンが発熱する事で身体全体を熱でくるむようにするのがベストです。
実例・我が家の就寝スペースの防寒対策
今まで述べた事を踏まえ、我が家の就寝スペース(後部荷室の上のスペース)における防寒対策を紹介します。
何も対策が施されていない状態
対策1 無地の新聞紙で湿気対策
まず、ここに無地の新聞紙を敷き詰め、周りの窓やボデー(鉄板)で生ずる結露がベッドスペースの床を侵食するのを防ぎます。
対策2 reflectixで遮熱&輻射熱の有効活用
以前、どこぞやのキャンピングカーショーで出店していた、㈱佐武さんより購入したリフレクティックスのシートをここで敷きます。
リフレクティックスとは「輻射熱を反射する熱遮断材」であり、自身の体から発生した熱を輻射熱として反射する事で温かさを保つシートになります。
↑
詳しくはリフレクティックスを取り扱っている建材会社のHPを参考にしてください。その時はたまたま、小売りをしていましたが、どうやら小売りは基本的にしていない模様。家のリフォーム等の際の断熱材として使われている模様。
なお、いち早くリチウムイオンバッテリーを採用したりと、先進技術を積極的に取り入れているキャンパー鹿児島さんのキャンピングカーは、遮熱処理オプションとしてリフレクティックス施工があるようです。
リフレクティックスシートは入手が難しいので、対策としては100均で売っているアルミシートを2枚張り合わせて下からは冷気を遮断。体に触れている面は体温から出た熱を輻射。対策でよいと思います。
対策3 暖かいラグ&シェラフで熟睡
基本対策を施した上に、暖かいラグを敷いて冬場をしのぎます。まず、ラグを敷く前に以前アップしましたが、車中泊で快適に睡眠するための、強反発マットレスを敷きます。
高反発マットレスの上には、ウールベースのラグを敷きます。
対策4 シェルフで寝ること
ここまで対策したうえで、布団に当たる部分はやっぱりシェルフが一番だと思います。シェルフは様々なメーカーから様々な種類のものが発売されていますが、気にすべきポイントは以下の
封筒型V.S.マミー型
あくまでも個人的見解ですが、真冬のスキー場の駐車場で車中泊を想定した場合、朝はちょっと想像を超える寒さなのが現実です。どれだけ対策をしても足元や首回りから冷気が…
ということを考えるとやはり、冬用シェラフはマミー型1択です。
ダウンV.S.化繊
やっぱりダウンシェラフのフカフカ感は魅力的です。暖かさも化繊のものを上回るイメージが強いですが、それぞれの長所・短所があり、そこを踏まえての導入が大事かと。
軽さに関してはダウンが圧倒的
やっぱり暖かさを追求すると、中綿の量が勝負になります。同じだけの保温性を担保するためにはダウンのほうが圧倒的に軽いのが事実です(ダウンのほうが重さは半分で済みます)。布団の重さが寝心地にも影響しますので、重さを最重視する方はやはりダウンを選ぶべきかと。
水濡れに関しては化繊の圧勝
車中泊は結露との闘いでもあります。窓のみならずクルマのボディ(鉄板)がむき出しになっている箇所の多いハイエース(DX)は窓だけでなく、至る所が結露します。ちょっとした結露がボディに出来た場合、シェラフが水分と接するケースもあるかと思います。ダウンのシェラフは水分には非常に弱いデリケートな面があります。結露が避けられない環境での使用であれば化繊のほうが気にせず使用できると思います。
収納に関しては一長一短
FP(フィルパワー)という言葉がありますが、これはざっくりと言うと、その数値が高い程小さく折りたたんで収納したシュラフがもとに戻る事が出来る数値を指します。高ければ高い程高品質と言う事が出来ます。概してダウンシェラフはFPが高いため、収納時、化繊のシェラフに比べ、より小さく収納する事が可能です。
これだけ聞くと、シュラフの圧勝じゃないか。と思われますが、シーズンオフの間、ダウンシェラフはそのまま小さく折りたたんだまま収納してしまうとダウンが潰れてしまい次に利用する際にフカフカの保温力が担保できなくなります。一方、化繊のシュラフは小さく(そこまで小さくならないですが)折り畳んだまま夏場収納しても次の冬に機能低下等は一切無く利用が可能です。
要は
車に就寝用常設スペースがあるが、夏場、家にシュラフをそのまま広げるスペースが無い場合は化繊シュラフが◎
車の就寝スペースは寝る度にセッティングする必要があるが、夏場、家にシュラフを広げるスペースがある場合は迷わすダウンシェラフに。
という事になります。
お値段
これは言うまでもなく ダウン>>>化繊 です(笑)
対策5 それでもすき間から入り込む冷気対策
やはりベッドルームもすき間から入りこむ冷気はどうしても存在します。こいつを徹底的に潰す事が重要になります。
まとめ
ここまで対策を施すと、極寒のスキー場の駐車場でも寒いと感じる事なく車中泊が可能になります。2度目の緊急事態宣言も発令され、ホテル泊も不安な今日この頃。しっかりと対策を施したうえで車中泊にトライするのも良いかもしれません。
スキー、スノボ利用を考えてまして、こちらの記事に辿り着きました。
ffヒーター装着は検討に値しないんでしょうか?
まーさん
コメントのお返事が遅れて大変申し訳ございませんでした、最近すっかり更新をサボっていて気付きませんでした。
当然ですがFFヒーターは導入しています。ただFFヒーターをつけっぱなしで寝るのは異様に乾燥する&夜ドカ雪に見舞われて、排気口を防ぐリスクがあるので個人的にはおススメ出来ません。
FFの利用シーンは朝起きて大雪でない場合はそのままスイッチオン
大雪の場合、排気口まわりの雪かきをした後スイッチオン
そんな感じの運用を我が家では行っています。