ハイエース4.5型をベースとしたキャンピングカー買い替えに伴い、懸案事項のひとつだったのはカーオーディオをどうするかでした。
今までのクルマ以上に長距離運転が常態化する以上、僕にとって、車内快適化の最も重要な要素は運転中、運転していない時、車内でよい音で音楽を聴く事なんです。
そんな我が家が選んだカーオーディオの要であるヘッドユニットは、今や会社として風前の灯(笑)のパイオニアが満を持して投入した、サイバーナビに初のXシリーズを冠した、パイオニア サイバーナビXシリーズ AVIC-CZ902XS です。
実際にどんな音なのか?使い勝手はどうか?? 良い点、悪い点は?などなど、みなさんが気になる点を提灯記事ではなく、インストールから約4か月経って、エージングも済んだ頃かと思いますので余す事無くお伝えしたいと思います。
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カーオーディオ導入の前提条件
子供がいない我が家は、後部座席でDVDを観るとかの映像に関しては全く必要性を感じていません。まぁ、出先で録画し忘れたテレビが観れたらいいなぁ…その程度。
停車時にDVDを観るって事もありません。酒飲んで寝ちゃうかな(笑) というか、停車時はBluetoothベースで別のシステムを構築したいなぁ…と夢想しています。
また、カーオーディオは一度インストールしてしまえば、次の買い替えまで変更をしたことが今の所ありません(今回、キャンピングカーにして、10年は乗ろうと思っている関係上その限りではないかもしれませんが…)従って、ヘッドユニットに関しては特に最新機種を選びたいと思っています。
という事で、我が家のカーオーディオに関しては以下の要件で検討となりました。
- 運転席、助手席で運転中に音楽を聴く事を中心とした、フロント2ch(プラスサブウーハー)の2.1chシステムが大前提。
- ビジュアルは全く考慮しない。従って後部座席向けのフリップダウンモニターや、5.1chの構築は行わない。
- 最新機種、最新ファイルフォーマット対応(ハイレゾ対応)
と言うことで、2018年5月。まだ発売前、音も聴かずにパイオニア サイバーナビXシリーズ AVIC-CZ902XSのインストールを決定しました。
システム構成
キャンピングカーのあれやこれやの架装に結構な金額がかかってしまい(苦笑)、スピーカーとパワーアンプは前車から引き続き使用する事に。ではシステム構成を。
ヘッドユニット
前述のとおり、パイオニアサイバーナビXシリーズ carrozzeria AVIC-CZ902XS をインストール。前車がDIATONE SOUND NAVI 80Premiからの変更になります。
変更にあたっての最大の決め手は、ハイレゾファイルのネイティブ再生と、あまりにもバカ過ぎて話にならないナビ性能の向上のふたつでした。
スピーカー
スピーカーは前車からの移植。ある意味エージング完ぺき(笑) BEWITH A-130Ⅱ(AccurateⅡ 13㎝ミッドバス)と、BEWITH A-50Ⅱ(AccurateⅡ 5㎝ツイーター)の組み合わせ。
現在、アキュレートシリーズはⅢに進化していますので、一世代前のモデルとなりますが、基本大きな変更点は無しなのでこれで満足しています。
BEWITHは日本のハイエンドカーオーディオブランド。アキュレートシリーズはスピーカーラインナップの中では、手の届きやすいスタンダードモデルの位置づけ。価格と音質のバランスが一番良いかと。
BEWITHのSPの最大の特徴は、ツイーターが受け持つ帯域。トゥイーター~ミッドバス間の推奨クロスオーバーポイントを800Hzと、一般的な2ウェイシステム(通常3~5kHz前後)と比較して異例に低く設定することで、より簡単にダッシュボードに音像が並ぶ事が可能となる点が他には無いメリットとなります。
但し、ツイーターに受け持たせる帯域が広いと言う事は、それだけ、ツイーターの出来がシビアに求められると言う事となり、その辺りはかなり気を遣っています。写真下にあるように、専用のエンクロージャーも用意され、音に対して完ぺきなケアを行っています。
変な話BEWITHのスピーカーシステムは、ミッドバスよりもこのツイーターを活かすためのシステムともいえます。
サブウーハー
サブウーハーですが、ちゃんとしたハコを作りたいのは山々なのですがやっぱりキャンピングカーともなると最早スペースがキッチキチ…エンクロージャー作りこんだサブウーハーは設置スペースの関係で断念。パワードサブウーハーの中でもかなり評判の高い、DIAMOND AUDIOの10インチサブウーハーDPAS10を新たにチョイスしました。
AVIC-CZ902XSの評価
DIATONE SOUND NAVI(80~300premi)との比較
前車で使っていたダイヤトーンのサウンドナビ(80プレミ)との比較になります。前述したとおり、サウンドナビは300まで進化しているので、最新機種との比較となると分が悪い点もあるかと思いますが、基本的なメーカーの音作りの姿勢は変わらないものとして比較します。
前車(レヴォーグ)、現車(ハイエース)と言うハコとして圧倒的に異なる点はあるものの、スピーカー(ミッドバス+ツイーター)とパワーアンプは同一のものを使用していますので、自分の耳の記憶のみの頼りとなりますが、比較検証してみたいと思います。
全体傾向
これは色んなところで書かれているように、「柔のサウンドナビ」V.S. 「キレのサイバーナビXシリーズ」はその通りかと。
サウンドナビは上手に音楽の角を丸めて、引っ込むところは引っ込んで、出る所を控えめに出す音の聞かせ方は「上手いな」と思います。
一方サイバーナビXシリーズは隅々まで見通しの良い音、ソースに忠実に鳴らしきる。にもかかわらず、解像度一辺倒で疲れる音と言う訳でもない(ここはパワーアンプによるところが大きいかもです)
ホームオーディオで例えると、サウンドナビは、ラックスマンの管球アンプにその佇まいは近いかと。「雰囲気のある、温かみのある音」であって、「原音に忠実な音ではない。雰囲気で鳴らす音」といったところ(悪くはないです。4年も使って音に不満は無かったから)
サイバーナビXシリーズをホームオーディオに例えると、アキュフェーズのA級アンプぽい。熱さもある程度保ちながら、「透明で見とおしの良い寒色系の音」と言えるかな。
オーディオ翁の間でも、アキュV.S.ラックスは永遠のライバルかと(笑) まさにそんな感じ。
ハイレゾ対応
やっぱり昨今のオーディオ的キーワードは「ハイレゾ」。カーオーディオという常に走っていてロードノイズを拾い、振動し続けている環境下では、やっぱり非フィジカル(非回転系)化は避けられない進化かなぁ。って思っています。
一般社団法人 日本オーディオ協会による、ハイレゾの定義としては…
CD( 44.1kHz/16bit)
DVD・DAT(48kHz/16bit)
を超えるサンプリング周波数・量子化ビット数の音源データ
と定義されているようです。要はCD/DVDを超えるサンプリング周波数、ビット数という事となります。
そこで、ハイレゾ。それぞれの対応ファイルを比べてみます。
ヘッドユニット | 再生可能ファイル | 対応サンプリングレート/量子ビット数 | |
Pioneer AVIC-CZ902XS | WAV/FLAC/ALAC
DSD |
96 kHz/24 bitのハイレゾファイルのネイティブ再生対応
WAV/ALAC : 最大192 kHz/32 bit FLAC : 最大192 kHz/24 bit(96 KHz/24 bitにダウンサンプリング再生) DSD : 2.8 MHzまたは5.6 MHz/1bit(96 KHz/24 bitのリニアPCMに変換して再生) |
|
Diatone NR-MZ300premi | WAV/FLAC | 44.1kHz/16bitへのダウンサンプリング再生
WAV : 最大192 kHz/24 bit FLAC : 最大192 kHz/24 bit |
そもそもサウンドナビは、ハイレゾ音源がかけられるというだけで、ハイレゾ対応とは言えないです。(44.1/16はCDと同じ)従って、ハイレゾ対応の視点で言えば、カロXナビの圧勝です。MP3音源やCD音源のみを対象とするのであれば問題ありませんが、僕はSDカードやUSBメモリにハイレゾ音源をDLして車内で聞く事を想定していたので、ネイティブ再生が出来るカロXナビ(あとはケンウッドの彩速ナビ)しか選択肢は無かったです。
設定項目
結局、カーオーディオを突き詰めてゆくと、機器の差ではなくあの限られた制約だらけの箱の中でどう鳴らすか。というルームアコースティックに行きつくものと思われます。
そういう面で、やはりタイムアライメントやイコライザー調整の細かさになりますが、ここはダイヤトーンのサウンドナビの独壇場でした。しかし、カロXナビもほぼそん色無い所まで追い上げていますが、やはりサウンドナビのほうが半歩位は先に行っています。
まぁただ、そこまで素人が分かるのか?とも思いますし、細かすぎて素人が弄れないのはどっちも一緒。ちゃんとしたプロショップに調整をお願いしましょう(笑)
Pioneer AVIC-CZ902XS | フルタイム52bit高性能Tripleコア浮動小数点DSP | 31Band GEQ.(L/R/SW独立) | TA(0.35cm/Step) | 調整幅:-9dB〜+9dB(0.5dB/Step) |
Diatone NR-MZ300premi |
64bit演算コアアジャスタブルFIR DSP |
31Band アジャスタブルGEQ.(L/R/SW独立) | マルチウェイTA(DIATONE特許技術) | ±0.5dB/Step |
出所 Pioneer HP ならびに 三菱電機 HP より抜粋
正直言って、あまりこの分野についてはちきんと説明できる程詳しく無いのですが、↑の各社リンクを目を皿のようにして眺めていると、やっぱりサウンドナビが頭一つ抜けている印象は変わらず。って感じ
ナビ性能
これは実際使用していたPremi80との比較になりますが、みなさんもご存知の通りダイヤトーン(三菱)のナビのバカさは有名(笑) 高速の上で案内終了したり、誰も通れない道をナビしたりと散々。
今のサウンドナビは三菱のHPによれば、随分とナビ性能も充実しているようですが、口コミとかを見ているとやっぱりまだまだの印象はぬぐえません。って言うか、数年サウンドナビ80Premiを使ってのトラウマが残っていて、「もう三菱のナビは使いたくない」と言うのが正直な気持ち。
ぶっちゃけ、サウンドナビがヘッドユニットのみ出してくれれば、サイバーのナビにサウンドナビのHUを使うのに…と、つくづく思う次第。
カロXナビ…とにかくここが素晴らしい!
前章でサウンドナビとスペック的に比べて見ましたが、結局のところ一長一短。
- ハイレゾ音源も鳴りますよ。ではなく、ハイレゾとして再生できるカロXナビ。
- 気の遠くなるところまで調整が可能でルームアコースティックを突き詰めるならサウンドナビ。
- 隅々まで見渡せて寒色系のカロXナビ。
音を丸めて全体として聴かせる暖色系のサウンドナビ。
なんですが、結局のところカロXナビを選んだ理由としては…
ハイレゾ音源再生の素晴らしさは筆舌に尽くせぬ程凄い!
後述しますが、色んなダメな所も多いカロXナビですが、USBメモリやSDカードに収録したハイレゾ音源を聴いてぶっ飛んでしまいました。どこまでも解像度が高く、それでいて分析的になり過ぎない音。もう圧縮音源は聴けない。って思わせてしまう音。やっぱりこれだよな。なんて思う次第。
iPhoneをただかざして録音しただけなのでこれじゃなんとも言えませんが、ガンズのアペタイト・フォー・ディストラクションのDXエディションのハイレゾ配信を再生しています。ハードロックなので、サブウーハーのゲインをかなり上げて、ズンドコした音なのは敢えて曲に合わせてそうしています。ガッツのある厚みのある音で、個人的には良い鳴りっぷり♬
やっぱりサイバーのナビは賢い
前々車がパイの楽ナビで、前車が何度も言っていますがサウンドナビ。そして今回サイバーナビ。「斜め手前右」とか「道なりです」とかのクセはあるものの、ルートの選び方や、ナビの精度、曲がり角の分かり易さ等は今までのナビの中で断トツ。まぁ、これ位なら文句を言う筋合いはないです。
要はナビもオーディオも群を抜いていてなんの文句も無い。と言いたいところですが…おぃ!ちょっと待て!ってとこも実は多いカロXナビ。不満点は…
カロXナビ…ちょっと???
信じられない位の感度
テレビですが、アンテナが悪いのか何が悪いのか分かりませんが、とにかく感度が悪い。全然入らないです…民放が地方で入りにくくなるのは100歩。いや1000歩譲りますが、NHKすらろくに入らないのは何故だ!何故なんだ!! 最悪
回転系の対応
基本、カロXナビはUSBメモリかSDカードで音楽を聴くのでさほど重視してはいませんが、回転系メディアにBlu-rayが非対応な点。やっぱりそろそろBlu-rayは対応して欲しいです。。。
シャッフルがバカ過ぎる
実は地味にこれが一番の不満。
まず、USBの口に、わざわざiPod用とあるにもかかわらず、うちのiPod(旧型160Gモデル)は全く認識せず。
で、USBメモリやSDカードでの再生になるのですが…
アルバム単位のシャッフルが出来ない
1アルバム再生が終わると、次のアルバムに自動的に再生される場合と、同じアルバムを繰り返す場合がある(法則性が未だに分からない。なるファイルとならないファイルの違いが全く分からない)
もうストレスでしか無いです…
今時7インチはないだろ…
10インチオーバーの画面も多くなって来た昨今、7インチはマジで小さい。ナビ画面もちっちゃくてみえねーじゃねーかよ!とぶーぶー言っていたら、後出しジャンケンの様に8型モデルが登場…
ふざけんなよ。。。
使えないリモコン
このリモコン、デカいだけで全く使えません。音量UpDown、アルバムの選択、スキップ。この位で良いのに、それがイマイチうまく作動しません。最悪。使った事のない連中が作ったとしか思えません。
NWサービスまわり
カロッツェリアお得意のスマートループに基づく、渋滞考慮オートリルートもバカ。使いもになりません。
更に、NWに接続すると到着地の天気や駐車場空き状況等を知らせてくれるのはまぁ良いのですが、ナビと連動したドラレコを利用しているユーザーの車からの道路状況の写真を共有してくれるサービスがとにかく対象台数が少なすぎてバカの極致。
朝、走っていると、昨夜の画像がバンバン送られて来ます。こんなもん、表示するだけストレス。最悪。ありえない。何度でも言いますが、使い物になりません(笑)
また、ケータイアプリのMapFan Connectによる、バージョンアップがバカもいいとこ。全くアップデートできません。何度やってもイマイチつながらない。もう本当に嫌になっています。
さいごに
色々と不満もありますが、これだけの高音質とナビ性能の基本はきちんとしているカロXナビ。正直言ってサウンドナビを選択する理由がありません。もっと使い込んで行きたいとおもっています!