Label Variation…DECCAレコード Vol.3:デラムレコード(UK DERAM)

デッカレコードのサブ・レーベルとして1966年に発足したデラム・レコードは、主にプログレッシブ・ロックを中心とした「先進的だけど、コマーシャルな内容ではない」バンドを中心に展開され、レーベル自体は80年代初頭まで存続しています。

デラムは先に述べた、英DECCA英米LONDON程レーベルデザイン・バリエーションは煩雑ではないので、年代特定はそこまで困難ではないと思われます。

UK DERAM mono Label (1966~1971)

DECCA系列のモノラル発売は71年までとなっていますので、DECCAのサブレーベルのDERAMでもモノラル盤は71年までと思われます。モノラルに関しては、DECCAと同様、主に色で区別をしています。モノラルに関しては茶色がベースのレーベルデザインとなります。

Variation1 : Brown / White ‘BIG DERAM’ (1966~1969)

DERAMの文字が大きいタイプと小さいタイプの2種類が存在しますが、様々な文献やWebを見ていますが、これを年代特定としているものは殆ど存在しません(バリエーション程度)。実際のところはどうなのか更なるスタディを要するものと考えていますが、便宜上ここでは、大きいタイプを年代的に古いものとして仮置きしています。

また、V1には、mono表記が四角で囲まれているものとそうでないもののパターンが存在しますが、オープン、ボックスドmonoは年代特定には至らないため、バリエーションの枝として整理しています。また、V2においても同様にOPEN, BOXEDが存在するかですが、手持ちのレコードのみでは判断がつかないため、DISCOGSを丹念に見ているのですが、OPENタイプのものしか存在しない模様です。

Variation1-1 : open mono label

KEEF HARTLEY BAND /HALF BLEED / DML1037

・BROWN / WHITE LABEL
・BIG DERAM LOGO
・’OPEN’ MONO表記

Variation 1-2 : boxed mono label

GILES, GILES & FRIPP / DML1022

・BROWN / WHITE LABEL
・BIG DERAM LOGO
・’BOXED’ MONO表記

※Keef Hartly Bandはバンマスでドラマーのキーフ・ハートリーのバンド。その辺のブルースロックとは一線を画した音で、JAZZ的なテイストやホーン隊を含む演奏はかなりのおススメ。LONDON R&B~BRITISH BLUESの世界を渡り歩いたキャリアも魅力(ex ARTWOODS, BLUESBREAKERS)

Variation2 : Brown / White ‘SMALL DERAM’ (1969~1971)

V1でも述べた通り、大きいDERAMと小さいDERAMで年代特定はかなり困難な気もするのですが(STはこの限りではない事が判明しているため)便宜上仮置きということで69年(親のDECCAがBOXED DECCAをモノで採用するタイミング)で小さなDERAMロゴへの切り替わりがなされたものと考えています。また、V2においてもV1同様にOPEN, BOXEDが存在するかですが、手持ちのレコードのみでは判断がつかないため、DISCOGSを丹念に見ているのですが、OPENタイプのものしか存在しない模様です。

THE ALAN BOWN ! / DML1049

・BROWN / WHITE LABEL
・SMALL DERAM LOGO
・OPEN MONO 表記

※ALAN BOWN SETは、ジェス・ローデン、ロバート・パーマーを擁した初期のMODS~R&Bバンド時代が最高。上で紹介したTHE ALAN BOWN! 以降はプログレ的な音像になって行くので、僕個人的にはこのアルバムまでがおススメ。

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エアーメイル レコーディングス
この3枚を聴けば間違いないです!

UK DERAM Stereo Label (1966~early 1980’s)

DERAMレーベル自体は80年代の前半まで存続していたと思われます(70年代後半~80年代前半は過去のリイシューばかりが目立ち始め、恐らく82年あたりで新譜の発売は終了している模様。しがたいまして、レーベル判別としてはやはりDERAMが最も輝いていた60年代末~70年代中半あたりまでが対象となるのかと考えています。

Variation1 : RED / WHITE ‘BIG DERAM’ Label (1966~1969)

ステレオ盤のレーベルデザインは、白基調なのはモノと同じですが、モノがブラウンがメインカラーであるところ、ステレオは赤をメインカラーとしている点が大きく異なります。

モノと同様DERAMの文字が大きいパターンと小さいパターン(更に®なし、®つきに小さいパターンは分類されます)にざっくりと分類され、これもMONOと同様に大DERAMではSTEREO文字が四角に囲まれているパターンとそうでないパターンとに分類されます。

Variation1-1 :open stereo label

Variation1-1は私は所有しているレコードにはないため、ネット上を探しましたが、適切な画像は見つけられませんでした。しかし、確かに存在する模様ですので記載に留めます。

Variation1-2 : boxed stereo label

THE WORLD OF OZ / SML1034

・RED / WHITE Label
・BIG DERAM LOGO
・BOXED Stereo表記

Variation2  : RED / WHITE ‘SMALL DERAM’ Label (1969~)

親のDECCAがOPEN DECCAからBOXED DECCAへとレーベルデザインを刷新したタイミングと恐らく呼応したものと思われます。DERAMもLOGOが小さくなります。

Variation2-1 : ®なし

EAST OF EDEN / SML1038

・RED / WHITE Label
・SMALL DERAM LOGO
・®表記なし

※EAST OF EDENも極めてDERAMらしいバンド。サイケデリックでプログレッシブ、フルートがアクセントになっています。クセの強いVo.は好みが分かれますが、60年代末のサイケの残りかすぽさがいとおしいバンドです。

Variation2-2 : ®あり

恐らく経験則上、BLUE NOTE LABELなどもそうですが、®ありのほうが年代的には先に進んでいるとは思うのですが、年代特定までに至らないため、SMALL DERAMのバリエーションの一つとして記録しています。

KEEF HERTLY BAND / HALFBLEED / SML1037 / 2nd Press (我が家のハーフブリードはジャケ裏にmono/stereo判別窓がなく、RありDERAMですので、Rありが2ndプレス相当と認識しています)

・RED / WHITE Label
・SMALL DERAM LOGO
・®表記あり

Variation3 : 特殊パターン

DERAMには、レーベルデザインによる年代特定のパターン(ロゴの配色や大きさ。®の有無など)には当てはまらないデザインがいくつか存在します。以下は僕が把握している限りのパターンですので他にもあることが考えられますが、そこは発見次第随時アップデートしていければと思っています。

Variation3-1 : BROWN / WHITE ’STEREO’ Label

従来、BROWN / WHITE の配色はモノラル盤に採用されていましたが、僕の所有しているキャラバンのアルバムには、ステレオでこの配色のパターンが存在します。

CARAVAN / IN THE LAND OF GREY AND PINK / 1971年発売

CARAVAN / WATERLOO LILY / 1972年発売

そもそもこの2枚に関しては、モノラル盤は作成されていないのにも関わらず、モノラル盤のレーベルデザインを用いている点がイレギュラーです。更に、グレイとピンクの地はSMALL DERAM LOGOなので納得できるのですが、ウォータールー・リリーに関しては、1972年発売にも関わらず、BIG DERAM LOGOが使われています。これでは今まで見てきた法則性をすべて無視したデザインで、頭を抱えてしまいます…

※キャラバンの最高傑作。カンタベリー・ロックの代表作でもあります。ここで聴かれるデイヴ・シンクレアの「くぐもったオルガン」の音色こそがカンタベリー・ロックの特徴だと個人的に思っています。

Variation3-2 : SILVER / BLUE Label

モノラルはBROWN / WHITE  ステレオはRED / WHITE LabelがDERAMレコードの基本配色ですが、上に述べた様にキャラバンのアルバムには、BROWN / WHITE でステレオという「パターン外」配色が見受けられましたが、他にもSLVER / WHITEの全く独立した配色のアルバムが存在します。

GILES, GILES AND FRIPP / SAME / SPA423

親のDECCAにもSTONESの一部のレコードで独自のレーベルデザインが見受けられますので、DERAMも同様にあくまでもこのアルバムに限った特殊のパターンと考えるべきなのでしょうか。引き続きスタディを続けたいと思います。

※プレ・キング・クリムゾンですが、クリムゾン程の難解さはないです。

Variation3-3 : DERAM NOVA Label

DECCAは、サブレーベルとしてDERAMを設立しましたが、より実験的で非商業的なレコードに対し、後日、DECCA NOVAレーベルをあたらに立ち上げますが、その中に、DECCAではなくDERAM NOVAというレーベルが存在する模様です。

EGG / 1970

ハットフィールズ&ザ・ノースの中心人物、デイヴ・スチュワートが在籍していたカンタベリー・ロックのグループですが、恥ずかしながら未聴。他にDERAM NOVA レーベルより発売されているアーティストがいるかは確認中です。

※ハットフィールズ&ザ・ノース~ナショナル・ヘルスが好きな方にはEGGはマストなバンドなのでは?

UK DERAM 7inch

DERAMの7”に関しては、基本的にはBROWN / WHITE Labelのものとなります。

Variation1 : BROWN / WHITE Label

THE MOVE / I CAN HEAR THE GRASS GROW / 1967

・BROWN / WHITE LABEL
・BROWN CENTER
・SAME DECCA SLEEVE DESIGN

※THE MOVEこそがDERAMを代表するアーティストだと思います。初期にほんの少し在籍していただけでアルバムは残していませんが、バンドを代表する名曲がDERAMに残されていると思います。↓に紹介するCDが一番のおススメ。DVDとの2枚組で、DVDはあのCOLOUR ME POPの出演シーンが全曲収められています。

Variation2-1 : BLUE / WHITE Label (Promo Only ?)

TEN YEARS AFTER / I’M GOING HOME / 1968

・BLUE / WHITE Label
・WHITE CENTER
・no  ‘A’ mark

恐らくプロモ盤のカラーデザインかと思うのですが、Aマークありなしのバリエーションが存在する模様。

※TEN YEARS AFTERもDERAMを代表するバンド。A.Leeの早弾きは、今の耳からすると早くないですがやはりかっこいい。

Variation2-2 : BLUE / WHITE Label A mark Promo

TEN YRARS AFTER / PORTABLE PEOPLE / 1968

・BLUE / WHITE Label
・WHITE CENTER
・have  ‘A’ mark

こちらはAマークあり。BIG Aではない模様。

Variation2-3 : BROWN / WHITE Label  w/ A mark

JOHN SURMAN / OBEAM WEDDING / 1969

DECCAでもこのパターンを見たことがあります。恐らくですが、ノーマルのレーベルに後から印字しているのではないでしょうか?(要確認)

おわりに

DECCAのサブレーベルであるDERAMは魅力的なアーティストも多く、時代も60年代末に集中している事もあり、大きく分けて、DERAMロゴの大小、のありなし。に気を付けていけば大外しする事もないかと思われます。

 

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